【成約事例】特殊繊維加工業の技術と雇用を守るM&A(譲渡企業インタビュー)

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2025年9月、ジャパンM&Aソリューション株式会社の仲介により、西平レース株式会社のM&Aが締結されました。西平レース株式会社は和歌山県で地盤補強⽤ジオグリッド(高強力網目状織物)の樹脂加工を行う会社として業界では知られた存在でしたが、コロナ禍により経営の安定化を希望された西平社長はM&Aを決断されました。代表の西平様に創業から譲渡までの経緯についてお話を伺いました。
譲渡企業情報
事業内容: 特殊繊維加工業(軟弱地盤用補強材などの製造)
Q: 西平レース様の事業内容について教えてください。
A: 弊社のメイン商材である地盤補強⽤ジオグリッド(高強力網目状織物、軟弱地盤用の補強材)は、もともと海外から入ってきた技術で、色々な国で作られています。ただ、海外製品を日本でそのまま使うには小回りが利かないんです。日本では九州の一部で海外製品が入っていますが、一回の注文ロットが海上コンテナ1個単位になってしまいます。
ちょっと使うには余るし、大きい物件で使うとしても残りを在庫として抱えなければならない。また、強度テストや品質面でも、やはり日本の製品基準は厳しいので、国産品が重宝されているというわけです。
特に西平レースは業界では「困ったらあそこに持っていけば何かやってくれる。ただし工賃は高い」と知られた存在でした。
Q: M&Aを検討されたきっかけについて教えてください。
A: 一番のきっかけは、経営者として心が折れてしまった経験があったことです。私が入社した時から、それほど儲かっている状態ではありませんでしたが、追い打ちをかけるようにコロナ禍で厳しい状況が続きました。なんとか耐えしのいで、コロナ明けすぐは少し仕事が動き出したのですが、その後また受注が止まり…。そこで完全に経営者として心が折れてしまいました。
そんな時、たまたま近所の先輩経営者が息子さん2人を連れて仕事を教えてほしいと訪ねてきたのです。息子が2人いるということは、その会社は事業を拡大していくつもりだと思い、その先輩経営者の会社に西平レースを買収してもらえないかとお願いしました。
話はいいところまで進んでいたのですが、終盤でその先輩経営者と、得意先の担当者を引き合わせた際、お互いのキャラクターが合わなかったのです。そのことがきっかけになったかどうかは不明ですが、その話は立ち消えになってしまいました。
その後、知り合いの倉庫業者にも声をかけたのですが、その方は工場から機械を撤去して倉庫にすることしか考えていませんでした。「機械、小さくならないか?」とまで言われて、それでは会社を譲ることはできないと判断しました。
西平レースは地盤補強⽤ジオグリッドという、ちょっと特殊な製品を扱っている会社です。国内では弊社しかできない技術も持っていますのでそれだけは残したかった。そのため、事業内容と価値を理解していただける譲受企業に会社を託さないと意味がないと思っていました。それどころか、仕事を続けてくれて、従業員の雇用を保証してくれるのであれば、お金はいらないとまで思っていました。
その後、地元のバーベキュー会で紀陽銀行の支店長とご一緒する機会がありました。私が酔った勢いも手伝って「会社を売りたい」という話をしたところ、「ぜひそういう話に参加させてほしい」と銀行の方から声をかけていただいたのです。そして、ジャパンM&Aソリューションさんをご紹介いただいたという流れになります。
Q: 吉川織物様(譲受企業)と初めてお会いしたのはいつ頃ですか?
A: 年明けてからです。吉川織物さんは実はジャパンM&Aソリューションさんからのご紹介ではなく、取引先からのご紹介でした。
話はトントン拍子で進んでいきました。というのも、吉川織物さんはどうしてもやらなければならない仕事があって、その加工場として弊社に白羽の矢がたったのです。吉川さんは、どうしても急いで進めなければならない仕事があって、今も機械を慌てて入れている状況です。その仕事を早く軌道に乗せるために、早く決着させたかったようですね。
その仕事を行うために現在も急ピッチで機械をいれていますが、とにかく急を要した事態でした。
しかし、大方の合意は取れているとはいえ、お互いにM&Aの進め方は何一つとしてわかりません。そのうえ、前述した通り吉川織物さんは相当お急ぎでしたからM&Aのプロに入ってもらうしかないと考えました。そこで、ジャパンM&Aソリューションさんに仲介をお願いすることとなったのです。
Q: ジャパンM&Aソリューションが間に入ることで、M&Aはスムーズに進んだと感じられましたか?
A: そうですね、M&Aには数年分の決算書はもちろん、その他膨大な書類が必要なのですが、弊社は“法人”という名の単なる個人商店で、定款もなければ株主名簿もない状態でした。担当していただいた畠中さんにはそれらを1から作るためのお手伝いをしていただきました。
かなり無理なお願いをしてやっていただいたので、やはり専門の会社でないと対応できなかったと思います。その点は本当にありがたかったですね。
結局、ほぼ話が決まってから、最初は8月中に成約するという予定だったのですが、お盆も絡んでいたので「無茶じゃないか」と思いました(笑)。
Q: 成約後も西平様は会社に残られるそうですね。
A: はい、ただし経営者としてではなく一人の従業員として働くだけです。最初は「日雇いでもいい」と言ったのですが、さすがに1年間は会社に残って働いてほしいと言われました。
そういうわけで、経営・経理などは全部先方にお任せするので、その点は身軽になると思います。私はどちらかというと、ものづくりに専念したい方なので、煩わしいことを全部引き受けてくれるのは助かります。
Q: 従業員の方にはいつ頃、M&Aについて報告されましたか?
A: 正式に報告したのは、正式契約をしてからです。
ただ、M&Aを検討していた時期から、いろんな人が来て土地を見たりしていたので、だいぶ早い段階でなんとなく察していたようです。
Q: 最後に、今回のM&Aを振り返って、ご感想をお聞かせください。
A: 畠中さんには本当にお世話になりっぱなしでした。
M&Aというのは、いろんなところに相談するわけにもいきませんから、結局は運とご縁が一番じゃないかなと思います。
大きいところだったら、いくつか競わせてM&A仲介を選んだりするでしょうけど、小さいところだと、そういうこともできません。最初に携わっていただいた会社にすべてをお任せするしかありません。
そんな中、畠中さんのような担当社に出会えた私は運が良かった、と今になって思います。
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